第61回長野県部落解放研究集会
本研究集会は、部落解放を掲げた県レベルで唯一の研究と研修の場として継続してきました。
今日部落差別はインターネット上での「部落さらし」など新たな課題が発生しています。さらに生成AIによる人権の課題など、今後法整備など差別のない社会をどう実現していくかが問われています。
こうした中、従来の「プロバイダー責任法」を改正した「情報流通プラットフォーム対処法」が2024年5月10日に国会で成立し5月17日に公布されました。この法律は、1.削除申し出窓口、手続きの整備、2.対応体制の整備、3.調査専門員の選任、4.削除基準の策定・公表義務、5.報告の義務と公表、6.罰則規定など、中傷誹謗や差別投稿などの削除に一歩踏み込んだ内容となっています。しかし、プラットフォーム事業者の自主性にゆだねている点や、中小の事業者や個人の事業者は対象から外れている問題など、法の実効性には課題があります。今後ガイドラインの作成、「識別情報の摘示」を入れることなどより実効性をたかめるための取り組みが必要です。同時に、「すべての人の無差別平等の実現に関する法律(案)」(包括的差別禁止法案)の議論をひろげていく必要があります。
また、長野県水平社創立100年を踏まえ、その歴史と差別撤廃・人間解放の精神や、本県の部落の歴史を改めて振り返り、今後の教育・啓発に活かしていきたいと考えています。
本集会は、差別の現実とその背景を認識し、今後の「法」制度の必要性や社会のあり方、また部落差別撤廃に向けた私たちの課題を明確にして、差別をなくしていく確かな手応えを実感できる今後の取り組みを創造していくために開催します。