「優生思想」・差別の連鎖根絶に向けて(声明)
「優生思想」・差別の連鎖根絶に向けて(声明)
2018年総会にて決議したものです。
昨年12月、「優生上の見地から不良の子孫の出生を防止する」という「旧優生保護法」のもとでの強制不妊手術をされた宮城県の女性が、国を相手に損害賠償を求める訴訟を起こしました。以来、不妊手術を強制された人たちが次々と謝罪や損害賠償を求めて訴訟を起こしはじめました。
1948年に施行された「優生保護法」は、知的障害者や精神疾患及びハンセン病の患者たちへの不妊手術を強制していました。この法律は1996年「母体保護法」に変わるまで維持され、「旧優生保護法」のもとで行われた不妊手術を受けた人は全国で2万5千人(日弁連発表6万人)に上ります。
「旧法」は、「不良な子孫の出生防止」という「優生思想」に基づき、行われ続けてきました。
1996年までこの「法」を維持させてきた責任が、私たち一人ひとりに問われています。
過去の事ではありません。
2年前、相模原の「津久井やまゆり園」で19名の障害者が虐殺され、多くの障害者が傷つけられました。犯人(被告)は「障害者は生きる資格がない」と繰り返していました。まさに「優生思想」です。その後、インターネットでの書き込みなどを見ても、これが犯人だけの問題でなく、今もしっかり社会に根付いている事が明らかです。
「旧優生保護法」のもとでの強制不妊手術は障害者に対する許せない差別であるとともに、この根底にある「優生思想」があらゆる差別の連鎖を生んでいることを明らかにしていかなければなりません。差別は私たちに沈黙を強います。声をあげ始めてくれた人たちにエールを送るとともに、私たち一人ひとりが「内なる優生思想」と向き合い、人権センターながのに集う仲間と共に、社会構造、社会意識としての「優生思想」根絶に向けて活動し続けていきます。
2018 年 5 月 19 日
2018 年度 NPO 法人人権センターながの
通常総会参加者一同